CPUクーラーの選び方
Case & Components
5月になり春は過ぎ去ろうとしています。夏日を記録するような今日この頃ですが、日々の移ろいのごとく、システムの発熱の問題は日に日に深刻さを増しています。
長年の開発の結果、デスクトップCPUは4コアから8、10、そして16コアへと飛躍的に進化し、5Ghzを超える動作周波数が当たり前のようになってきました。それに伴いTDP200W以上といった高い発熱量がスタンダードになり、昨今、性能を重視しているユーザーにとって頭痛の種となっています。
MAG CORELIQUID 240R V2 WHITE
現在、CPUクーラーは空冷式と水冷式の2種類が主流ですが、主に性能面から水冷式クーラーが人気のように思えます。しかし、単純に同じ放熱面積の物として比較した場合、冷却性能では大きな差がありません。どちらを選ぶかはユーザーの皆様の希望次第です。
ここからは参考までに、両者の違いやヒントをご紹介いたします。
ここからは参考までに、両者の違いやヒントをご紹介いたします。
空冷式クーラーは簡単な構造で、底面のベースプレートからCPUの熱をヒートシンクへと伝導させ冷却ファンを利用して冷却をするという構造になっています。空冷式クーラーは銅に代表される熱伝導率の高いベースがあってこそ性能を発揮します。
多くの空冷式クーラーのベースプレートは1枚の純銅で設計されますが、2007年から2012年にとても流行したHPDT(Heat Pipe Direct Touch)という設計を採用しているものがあります。当時の声明では、ベースプレートとヒートシンクの冷却性能は、製造過程にある要因により100%の性能を発揮できていませんでした。そこでヒートパイプを直接CPUに接触させることにより、本来の性能を発揮させることを可能にしました。この設計は瞬く間にメジャーとなり、様々なブランドから同様の設計の空冷式CPUクーラーが発売されました。
しかししばらくすると、この設計にも欠点があることが発覚します。
ヒートパイプ自体は真空構造となっており、パイプの厚さには制限があります。
この時点でヒートパイプは2つの問題を抱えています。
1つ目はCPUに対しヒートパイプは平らに接触する設計となっていなければいけなく、この設計により強度が不足し、長時間使用するとヒートパイプが変形して接触面積が小さくなり、冷却性能が低下する恐れがあります。
2つ目はCPUの種類によって接地面の表面積が異なるので、熱源の位置が正確には異なります。表面積が大きいCPUは、完全にカバーされるものもありますが、表面積の小さいCPUにおいてはヒートパイプが熱源に完全に接触しない恐れがあります。
一方1枚板の純銅で作られるベースプレートを持つ空冷式クーラーであれば、上記のような問題がないために、現在、ミドルクラスからハイエンドクラスの空冷式クーラーには純銅ベースの設計を採用しているものがほとんどです。
ヒートパイプ自体は真空構造となっており、パイプの厚さには制限があります。
この時点でヒートパイプは2つの問題を抱えています。
1つ目はCPUに対しヒートパイプは平らに接触する設計となっていなければいけなく、この設計により強度が不足し、長時間使用するとヒートパイプが変形して接触面積が小さくなり、冷却性能が低下する恐れがあります。
2つ目はCPUの種類によって接地面の表面積が異なるので、熱源の位置が正確には異なります。表面積が大きいCPUは、完全にカバーされるものもありますが、表面積の小さいCPUにおいてはヒートパイプが熱源に完全に接触しない恐れがあります。
一方1枚板の純銅で作られるベースプレートを持つ空冷式クーラーであれば、上記のような問題がないために、現在、ミドルクラスからハイエンドクラスの空冷式クーラーには純銅ベースの設計を採用しているものがほとんどです。
ベースプレートが熱を伝導し終わると、その熱エネルギーは純銅製のヒートパイプを通じてフィンに伝わります。ヒートシンクとヒートパイプの接触方法はいくつか方法があり、
・フィンを通す
・フィンにバックルを付け、リフローはんだ付けをする
などがありますが、どの手段をとるかによって熱伝導効率に大きく影響を及ぼします。一般的にはリフローはんだ付けが一番良いとされていますが、実際は職人の技量に左右されます。
・フィンを通す
・フィンにバックルを付け、リフローはんだ付けをする
などがありますが、どの手段をとるかによって熱伝導効率に大きく影響を及ぼします。一般的にはリフローはんだ付けが一番良いとされていますが、実際は職人の技量に左右されます。
次にヒートパイプの設計ですが、ヒートパイプの本数と厚さは熱伝導効率を図る基準となっています。
一般的にはヒートパイプはミドルクラスで6本、ハイエンドクラスで7~8本の本数が採用されています。
熱伝導効率はヒートパイプの本数が多いほど高くなりますが、曲げ加工やヒートパイプの経路にも依存しています。
一般的にはヒートパイプはミドルクラスで6本、ハイエンドクラスで7~8本の本数が採用されています。
熱伝導効率はヒートパイプの本数が多いほど高くなりますが、曲げ加工やヒートパイプの経路にも依存しています。
空冷式クーラーの最後のステップは、ファンを使用しヒートシンクの熱を冷却することです。ファンの性能はブレードの設計と速度に関係します。
空冷式クーラーの中には静音性を謳い、低速で風圧の弱いものもあれば、風圧を重視してフロントからヒートシンク全体に送風できることを念頭に置いているものがあり、必要に応じて後ろ側にファンを追加することも可能な製品もあります。
空冷式クーラーの中には静音性を謳い、低速で風圧の弱いものもあれば、風圧を重視してフロントからヒートシンク全体に送風できることを念頭に置いているものがあり、必要に応じて後ろ側にファンを追加することも可能な製品もあります。
空冷式クーラーが性能を発揮するには、放熱面積が大きいことが絶対条件です。そのためミドルクラスからハイエンドクラスの空冷式クーラーは大型のシングルタワー構造やダブルタワーで14cmファンを搭載したものが多いです。しかしながら空冷式クーラーの搭載スペースには限界があり、PCケースの幅、マザーボードのPWMヒートシンクの大きさ、メモリの大きさ、グラフィックスカードの大きさによって空冷式クーラーのヒートシンクの面積が左右されます。限られたスペースの中でいかにして性能を発揮させるかが今後のメジャーな空冷式クーラーブランドの開発方向になるでしょう。
MEG CORELIQUID S360
水冷式クーラーはオールインワン(AIO)水冷クーラーとも呼ばれ、専用のクーラント液が入っています。水冷式クーラーの動作原理は空冷式クーラーと大きな差はなく、CPUから発生した熱がヒートスプレッダから銅製のベースプレートを通じてブロックヘッドからチューブへと伝わり、ラジエーターへと伝導します。
クーラント液はチューブを通り、CPUの熱をラジエーターに伝導します。そしてファンがラジエーターの熱を放熱します。
水冷式クーラーの最大の利点は、クーラント液の持つ大きな熱容量にあります。放熱面積を大きく設計すれば、空冷式クーラーよりも冷却性能が優れます。
水冷式クーラーの最大の利点は、クーラント液の持つ大きな熱容量にあります。放熱面積を大きく設計すれば、空冷式クーラーよりも冷却性能が優れます。
一般的に、クーラント液の熱伝導効率は空冷式の4倍になり、効率良く熱を伝導することが可能です。空冷式クーラーの問題点は前述の通りですが、240mm、280mm、360mmサイズの水冷式クーラーならば、熱交換に使える面積は空冷式クーラーよりも広大で、スペースの制限もないので冷却性能は格段に上がります。しかし、水冷式クーラーに120mmラジエーターを搭載した場合は、ミドルクラスの空冷クーラー程の性能は得られないでしょう。
以上のように、空冷式クーラーと水冷式クーラーにはそれぞれに長所と短所があります。
空冷式クーラーは耐久性に優れ、長期間使用することができます。しかし空冷式クーラーの欠点として、"占有スペースが大きくメモリの設置場所を邪魔する可能性がある"、"グラフィックスカードとM.2デバイスの取り外しが困難になる"、"冷却性能が水冷クーラーに劣る"等が挙げられます。
オールインワン(AIO)水冷クーラーと本格水冷クーラーどちらが優れているのだろう?と思うユーザーがいるかもしれませんが、実はこの二つは同じ水冷式クーラーながら使う人の目的によって設計が異なります。 早速この両者の違いを説明したいと思います。
空冷式クーラーは耐久性に優れ、長期間使用することができます。しかし空冷式クーラーの欠点として、"占有スペースが大きくメモリの設置場所を邪魔する可能性がある"、"グラフィックスカードとM.2デバイスの取り外しが困難になる"、"冷却性能が水冷クーラーに劣る"等が挙げられます。
オールインワン(AIO)水冷クーラーと本格水冷クーラーどちらが優れているのだろう?と思うユーザーがいるかもしれませんが、実はこの二つは同じ水冷式クーラーながら使う人の目的によって設計が異なります。 早速この両者の違いを説明したいと思います。
前述したとおり、水冷式クーラーの動作原理は、CPUから発生した熱をクーラント液の流れを通じて放熱することです。クーラント液の優れた熱容量により、クーラント液の冷却さえ間に合えば、優れた冷却性能を発揮することができます。オールインワン(AIO)水冷クーラーと本格水冷クーラーの原理については、基本的には同じで、主な違いは構造にあります。
ヒートパイプの技術発展により空冷式クーラーが復活
水冷式クーラーが空冷式クーラーに取って代わるという議論は何年もの間議論がされてきました。理由としては、CPUの性能が上がって多コア化が進み、空冷式クーラーでは発熱を抑えることが困難になってきていたからです。
銅の熱伝導効率はアルミニウムよりもはるかに優れているため、純銅のヒートシンクと大型のファンという組み合わせが当時の主流な設計でしたが、純銅は重量が重いという問題がありました。
銅の熱伝導効率はアルミニウムよりもはるかに優れているため、純銅のヒートシンクと大型のファンという組み合わせが当時の主流な設計でしたが、純銅は重量が重いという問題がありました。
しかし、ヒートパイプの技術発展により、空冷式クーラーの性能が大幅に向上しました。ヒートパイプの動作原理は加熱側にある作動液が加熱されると蒸発して凝縮側へ移動するというものです。冷却し終えると、再び液化し、過熱側に流れ、このサイクルを繰り返します。 ヒートパイプの熱伝導効率は非常に高く、市販の優れた空冷式クーラーのほとんどはヒートパイプを使用しています。その一方で、冷却性能はヒートパイプの本数に関係しています。(ただし絶対的なものではありません)
4コアプロセッサーの時代は、動作周波数は一般的に3GHzを下回り、オーバークロックをしてもそれほど高くなく、消費電力や発熱量はそれほど多くなかったため、ヒートパイプ構造の空冷式クーラーで冷却が間に合っていました。その結果、水冷式クーラーの価値がマーケットで見出されていませんでした。しかし近年はパフォーマンス要件、CPUコア数、CPU動作周波数のすべてが向上するに伴い、水冷式クーラーの価値は高く評価されるようになりました。
本格水冷クーラー
空冷式クーラーと水冷式クーラーの市場の変化についてのお話のあとは、オールインワン(AIO)水冷クーラーと本格水冷クーラーの話題に戻りましょう。
本格水冷クーラーは各パーツが独立しており、ユーザーがご自身の手で組み立てを行う必要があります。最も重要な部品は、ウォーターブロック、リザーバー、ポンプ、ラジエーター、ファン、フィッティング、チューブ、クーラント液です。リザーバーとポンプは一体型の製品もあります。様々なブランドから本格水冷クーラー製品が発売されており、製品には取り付けに必要な部品が同梱されています。もちろん、お客様ご自身のお好みの部品を組み合わせることが可能です。リザーバー、ポンプ、ウォーターブロックとラジエーターに加え、ウォーターバルブ、コネクションヘッド、水流計、エクステンションヘッド、排気弁、排水弁、温度計などを購入する必要があります。
本格水冷クーラーは各パーツが独立しており、ユーザーがご自身の手で組み立てを行う必要があります。最も重要な部品は、ウォーターブロック、リザーバー、ポンプ、ラジエーター、ファン、フィッティング、チューブ、クーラント液です。リザーバーとポンプは一体型の製品もあります。様々なブランドから本格水冷クーラー製品が発売されており、製品には取り付けに必要な部品が同梱されています。もちろん、お客様ご自身のお好みの部品を組み合わせることが可能です。リザーバー、ポンプ、ウォーターブロックとラジエーターに加え、ウォーターバルブ、コネクションヘッド、水流計、エクステンションヘッド、排気弁、排水弁、温度計などを購入する必要があります。
これらの部品を取り付けする際には、チューブの脱落と水漏れを防ぐために、チューブラックなどが必要になる場合があります。システムを使用する前にクーラント液を補充し、システムが正常に作動するように、一連の動作チェックをする必要があります。
万が一クーラント液が外部に漏れてしまうとマザーボード、グラフィックスカード、M.2ストレージなどが破損する恐れがあります。
万が一クーラント液が外部に漏れてしまうとマザーボード、グラフィックスカード、M.2ストレージなどが破損する恐れがあります。
ソフトチューブとハードチューブ
本格水冷クーラーには2種類のチューブがあり、ソフトタイプとハードタイプがあります。ソフトチューブの素材は一般的にPVC、PUなどが使われています。利点はフレキシブルさと曲げ加工が容易なことです。ハードチューブの素材は一般的にPETGやアクリルなどが使われています。ハードチューブを使用する際は事前にレイアウトを計画し、対応するアールのついたチューブを事前に購入または用意する必要があります。ハードチューブは見栄えが良く、水流計やタンクといったパーツとマッチングを取りやすいのが特徴です。しかし、取り付け難易度が高いので通常はプロフェッショナルに依頼するのが一般的です。ソフトチューブの場合は、簡単に取り付けることが可能です。
オールインワン(AIO)水冷クーラー
ここからはオールインワン(以下AIO)水冷クーラーをご紹介します。
2011年頃、第1世代のAIO水冷クーラーがマーケットに出回り始めました。ブロックヘッドとラジエーターをモジュール化することにより、取り付けを簡単にしたのが特徴です。それから10年以上の開発期間を経てAIO水冷クーラーの熟成が進み、CPUクーラーのメインストリームとなりました。ユーザーはラジエーターにファンを取り付け、PCケースに組み込むだけで利用することが可能です。AIO水冷クーラーの利点の1つはこの取り付けの容易さにあります。
2011年頃、第1世代のAIO水冷クーラーがマーケットに出回り始めました。ブロックヘッドとラジエーターをモジュール化することにより、取り付けを簡単にしたのが特徴です。それから10年以上の開発期間を経てAIO水冷クーラーの熟成が進み、CPUクーラーのメインストリームとなりました。ユーザーはラジエーターにファンを取り付け、PCケースに組み込むだけで利用することが可能です。AIO水冷クーラーの利点の1つはこの取り付けの容易さにあります。
AIO水冷クーラーは一般的に2種類のウォーターポンプ設計があります。一つはMAG CORELIQUID C360/P360のようなポンプをラジエーターに内蔵した設計です。スペースと性能に多少の影響がありますが、この設計により動作時のブロックヘッドの振動を抑制し、液漏れのリスクを減少させ、ブロックヘッドを小さくすることが可能です。
もう1つはウォーターポンプをブロックヘッドと一体化にする設計で、Asetek製のAIO水冷クーラーはこの設計を採用しています。
ポンプがラジエーターに内蔵されていないため、ラジエーターを最大限に活用することができ、高い冷却性能を得ることが出来ます。
ポンプがラジエーターに内蔵されていないため、ラジエーターを最大限に活用することができ、高い冷却性能を得ることが出来ます。
さらに、最新世代のAIO水冷クーラーは、ユニークなARGB照明効果やLCDスクリーンなどの機能を搭載した製品があります。
上の写真のMEG CORELIQUID S360 はその一例になります。ウォーターブロックに2.4インチのLCDスクリーンを搭載し、CPU動作周波数や温度、GIFアニメーション画像など表示することが可能です。さらに、ウォーターブロック内に6cmファンを内蔵し、PWM電源供給回路周辺の冷却ができる設計となっています。
まとめ:パフォーマンスor利便性
本格水冷クーラーの利点はチューブの経路が長いためクーラント液の量が多く冷却性能が高いことです。中にはチューブ直径が14mmを超えるものもあります。ハイスピードなポンプと組み合わせることで、強力にCPUを冷却することが可能です。
その他にも、カスタマイズされたウォーターブロックを搭載している製品もあります。例えば上の写真のMPG Z690 CARBON EK Xマザーボードは、クーラント液の力を借りて熱を分散させる巨大なディストリビューションプレートが組み込んであります。
クーラーの大きさ、ポンプの出力、クーラント液の容量、循環システムの小ささなどからAIO水冷クーラーの冷却性能は本格水冷クーラーに及びません。
その他にも、カスタマイズされたウォーターブロックを搭載している製品もあります。例えば上の写真のMPG Z690 CARBON EK Xマザーボードは、クーラント液の力を借りて熱を分散させる巨大なディストリビューションプレートが組み込んであります。
クーラーの大きさ、ポンプの出力、クーラント液の容量、循環システムの小ささなどからAIO水冷クーラーの冷却性能は本格水冷クーラーに及びません。
AIO水冷クーラーの強みは利便性であり、ファンをねじで取り付け、ブラケットを使用しマザーボードに取り付けるだけで使用することができます。
面倒なことはなく、せいぜい多少のファンとARGBケーブルの接続が必要になるだけで、本格水冷クーラーと比べると冷却性能は劣るが、それでも一般的な空冷式クーラーと比べれば強力な冷却性能を誇っています。
面倒なことはなく、せいぜい多少のファンとARGBケーブルの接続が必要になるだけで、本格水冷クーラーと比べると冷却性能は劣るが、それでも一般的な空冷式クーラーと比べれば強力な冷却性能を誇っています。
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